飯綱町公式アーカイブ連載 飯綱町広報紙 発行日/令和2年9月30日 / 広報いいづな(令和2年10月号・第179号)
🍎 りんごの魅力、掘り起こし
第1回

「ニュートンのりんごは、どんなりんご?」

執筆:藤澤 充子(いいづなアップルミュージアム 学芸員) 飯綱町企画課・産業観光課 / いいづなアップルミュージアム
第1回 歴史とルーツ 飯綱町広報紙 発行日/令和2年9月30日

第1回 「ニュートンのりんごは、どんなりんご?」

執筆:藤澤 充子(いいづなアップルミュージアム 学芸員)
広報いいづな(令和2年10月号・第179号)

ニュートンりんご並木

ここアップルミュージアムのりんご並木には、イギリスの大科学者アイザック・ニュートン(1643〜1727)が「庭のりんごの木の果実が落ちるのを見て、万有引力の法則を着想した」という逸話に所縁の木が植えられています。東京小石川植物園から穂木を譲り受けたもので、品種名はフラワー・オブ・ケント(Flower of Kent)「ケントの花」と言い、イギリス・ケント州が起源の古い品種です。5月上旬にはやや大き目な花が咲き、開いてからも花弁に薄紅色が残って、オールドローズのような艶やかさがあります。この木がニュートンりんご並木の呼び名の所以です。

ニュートン像(戸田澄江 作 / アップルミュージアム所蔵) 拡大
ニュートン像(戸田澄江 作 / アップルミュージアム所蔵)

ロンドンのペスト大流行とニュートン

2020年、世界は予期せぬ新型コロナウイルス感染症の蔓延に見舞われ、未だその脅威から脱していません。人類はこれまでも、ペスト、天然痘やスペイン風邪と、幾度となく感染症の脅威と戦い、苦難を乗り越えてきましたが、ニュートンが、ケンブリッジ大学を卒業した1665年、イギリスではペストが大流行。ロンドンでは7万人もの市民が亡くなりました。研究のため大学に残っていたニュートンは大学が閉鎖となったため、ペストの流行が終息するまでの2年近くの間、故郷のウールズ・ソープに疎開を余儀なくされたのです。

疎開期間を創造的休暇に

都市の喧騒を離れ、思索、研究に没頭したニュートン。後にこの期間に着想したものは、科学者ニュートンの生涯の3大業績といわれ、疎開していたこの期間を、彼は「創造的休暇」と呼んだそうです。「この頃の私は、新しいことを考えるのに一番適した年齢で、それから後のどの時よりも熱心に物事を考えた。」と語ったといわれます。3大業績の一つが「万有引力の法則の発見」です。

フラワー・オブ・ケントの花(5月上旬・薄紅色のオールドローズ調) 拡大
フラワー・オブ・ケントの花(5月上旬・薄紅色のオールドローズ調)

ニュートンのりんご

りんご並木にあるニュートンの木の果実(250g程)は、熟すとすぐに落ちてしまいます。かのりんごの逸話の信憑性を裏付けるような落ち様で、他の品種と比較し際立って落ちやすい品種です。イギリスに10年程住んだという日本人女性が、以前、来館され「ケント州に一軒家を借りて住み始めた秋、夜中にドスン・ドスンと大きな物音がして、目が覚めた。外に出てみると、庭のフラワー・オブ・ケントの果実が落ちて、たくさん散らばっていた。」と話してくれました。

ニュートンのりんご果実(フラワー・オブ・ケント) 拡大
ニュートンのりんご果実(フラワー・オブ・ケント)

参考文献・参考資料

  • 『リンゴ品種大観・吉田義雄』
  • 『世界を変えた科学者ニュートン・岩波書店』
  • 『人類と感染症の歴史・厚生労働省』
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