和リンゴ花咲く、四月
第4回和リンゴ花咲く、四月
飯綱町の和リンゴ、高坂林檎
アップルミュージアム敷地内にある「高坂林檎」の花は、保有樹の中でも、祝(原名AmericanSummerPearmain)の花と共に、いち早く咲き出します。「高坂林檎」は、古くから日本人が親しんでいた和リンゴの一種で、明治時代まで名産として町内高坂地区で盛んに栽培され、善光寺門前でも売られました。高坂地区は、この林檎の花の名所としても有名で、「盛花は四月の末にあり蕾はあたかも海棠のごとく満開に至れば桜花に似たり風景絶佳なり」と志賀村村誌(明治15年)にあります。平成21年3月には、平成の天皇皇后両陛下の御手植えによって、皇居東御苑内の古品種果樹園に植樹され、江戸時代の代表的な和リンゴとして、青森県のリンキン、石川県の加賀藩在来と共に見学ができます。
拡大
盆行事の飾りとりんご祭
かつて、北信濃では和リンゴや祝の青い小さい果実が、盆棚飾りとして使われていた記録が残されています。また、上田市横町の日輪寺では、8月の伝統行事、観世音菩薩の縁日である四万六千日縁日を「りんご祭」として行い、毎年賑わいを見せています。「安産、子育て、夏の諸病よりの守り、厄除け、家内安全」などを祈願し、りんごを入れた護符の袋が参拝者に手渡されます。
護符の袋の表にりんご祭の由来は「林檎は夏の滋養補給品として貴重がられ、縁日でも売られるようになった」と書かれています。日輪寺の酒井泰寛住職によると、現在は早生品種「さんさ」の小さい果実が入っているが、昭和の終わり頃までは、和リンゴが入っていたということです。盛夏に収穫できる和リンゴは盆行事の飾り以外でも、こうして親しまれていました。町内の岩崎観音の四万八千日縁日でも、和リンゴは並んだといいます。
拡大
驚きの機能性成分!
昨年、県立長野大学中澤弥子教授と、長野県工業技術総合センター山﨑慎也研究員による飯綱町産リンゴの機能性成分調査・研究で、「高坂林檎」は、リンゴ由来ポリフェノールの中でも、老化を遅らせる抗酸化力が強く、内臓脂肪を減らす効果についての研究もされる「プロシアニジン」の含有量が多く「、ふじ」の10倍あることがわかりました。「プロシアニジン」は、リンゴポリフェノールの約60%を占める成分で、カカオ、大豆、グレープシードなどの食品に多く含まれます。「高坂林檎」の機能性成分を活かす加工活用に期待が膨らみます。こうした高い機能性成分と文化史的価値を併せて持つ希少な和リンゴの産地として、現在のリンゴ(西洋リンゴ)を栽培しリンゴに愛着を持つ、多くの飯綱町の人々が更なる興味を持って大切にし、まさに町の宝として後世に残すべき「高坂林檎」です。
註釈・専門用語の解説
参考文献・参考資料
- 『三水村誌年中行事資料明治39年調査「』
- 『信州りんご文化誌』
- 『志賀村村誌明治15年』