海を渡ってきた早生りんご
第16回海を渡ってきた早生りんご
夏に出回ったアメリカのりんご
夏明・恋空・夏乙女・シナノレッド・シナノリップ・つがると、極早生種・早生種のりんごが続々と収穫の季節を迎えます。近年、種類が増えてきたこの季節のりんごの草分けと言えば、やはり「祝」でしょうか?昭和の時代に多く生産され「盆りんご」や「なるこ」と呼ばれていたりんごです。祝は明治初頭に日本に導入されたPearmain*が当地でアメリカ原産のりんごでAmericanSummerの品種名です。直訳すると「アメリカの夏りんご」ですね。
お盆の供え物として夏に需要があった祝は、出回る時期には果皮は緑色の状態ですが、9月上旬になると緑色の果皮に赤褐色の縦縞が入ります。縦縞が入ってくると本来の熟期と言われていて、この時期に食してみると、適度な糖度で爽やかな酸味もあり、さっぱりとおいしく食べられるりんごです。
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イギリスの真っ赤な早生りんご
アップルミュージアム側のニュートンりんご並木には、8月初めに真っ赤に色づくりんごがあり、道行く人々の目を引いています。真っ赤なりんごはイギリス原産種の「パール」で重さ150~180gと小振りです。葉摘み無しでも大変に着色しやすく果実の上部から底部まで全面濃赤色になり、ストロベリーのような芳香が強くします。
冷涼なイギリスが原産地のパールは、昨今は夏の高温が続く気候の影響をうけ早期落果が甚だしく、良質な果実の割合も低くなっているようです。果肉は熟すと柔らかく、酸味が強く甘味は少ないため生食には向きません。試しにジャムにしてみると短時間で煮溶け、少し時間を置くと果皮の濃赤色が果肉に浸透し、綺麗なピンク色に変化。味わいには深みがあり加工向きのりんごです。
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明治の人、ロシアのりんごに驚く
西洋りんごが日本に導入されて間もない1877(明治10)年8月、青森県津軽地方で人々が驚くばかりのりんごが実りました。当地の『北斗新聞』は、その状況を『實ニ管内未曾有ノ大ナルモノニシテ、味ヒ殊ニ美二、日本種類トハ比較シ難シ』と報じています。管内未曾有の大なるものとは、この地に初めて実った西洋りんご—ロシア原産種「紅魁」のことで、日本種類とは和林檎のことです。直径が3、4㎝ほどの和林檎に対して7、8cmもある紅魁を目にし、味わってみて人々は驚嘆したのでした。その後は、青森県の明治7大品種と称されたりんご(国光・紅玉・祝・紅魁・紅絞・柳玉・錦)の一つとして大いに栽培されました。かつては長野県でも栽培されていた品種です。現在では経済栽培は見ら倭れいめいきれませんが、日本の西洋りんご栽培の黎明期に足跡を残したりんごです。
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註釈・専門用語の解説
参考文献・参考資料
- 『リンゴ品種大観:吉田義雄』
- 『りんごを拓いた人々:斎藤康司』
- 『青森県のりんご:杉山芬』