飯綱町公式アーカイブ連載 飯綱町広報紙 発行日/令和5年10月31日 / 広報いいづな(令和5年11月号・第216号)
🍎 りんごの魅力、掘り起こし
第17回

黄色いりんごと酸っぱいりんご

執筆:藤澤 充子(飯綱町集落支援員(りんごのまちづくり担当)) 飯綱町企画課・産業観光課 / いいづなアップルミュージアム
第17回 品種の物語 飯綱町広報紙 発行日/令和5年10月31日

第17回黄色いりんごと酸っぱいりんご

執筆:藤澤 充子(飯綱町集落支援員(りんごのまちづくり担当))
広報いいづな(令和5年11月号・第216号)

各産地で黄色系品種、増える!

2023年、極早生種・早生種のりんごは激しい気候変動の影響のなか、夏場は高温続きで赤色系品種の着色不良が甚大でした。各地のりんご産地では着色管理が比較的容易な黄色系りんごの品種数が増えており、青森県では2010年代後半から作付けが増加しているそうです。

昔からの黄色いりんご、青森県生まれの「陸奥」「金星」、現在も生産量の多い福島県生まれの黄緑色の「王林」は昭和時代の品種で、平成に入ってから、各県で数々の黄色系品種が誕生しています。

長野県生まれの「シナノゴールド」、県内でも生産の多い「ぐんま名月」を始め、青森県では「こうこう」「星の金貨」「トキ」、岩手県では「黄王」「はるか」「黄香」、*農研機構農研機構用語解説国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構の略称。の「黄太郎」「もりのかがやき」と、黄色系品種が続々と生み出されました。中野市の民間育種家の吉家一雄氏が作出した赤果肉品種の「ムーンルージュ「」なかののきらめき」も黄色い果皮ですね。

果実の外観が重視されるりんごは、販売面・流通面ともに果皮色の薄い黄色系品種は表皮の粗が見えやすい等デメリットがあります。しかし、赤色系品種に劣らぬ味の良い人気品種も出てきており、今後これら品種が増産されることによって、葉摘み・玉回し等の着色管理での省力化が図れるメリットも期待されています。

青空に映えるシナノゴールド 拡大
青空に映えるシナノゴールド
黄色果皮で赤果肉なかののきらめき 拡大
黄色果皮で赤果肉なかののきらめき

酸っぱいりんごの味が変わった?

飯綱町では海外品種のクッキングアップル、「ブラムリーズ・シ―ドリング」「グラニー・スミス」が多く生産されています。どちらも国産品種に比べて強烈な酸味があります。ところが、近年では「ブラムリーズ・シ―ドリング」は、外観から見て分かるほど蜜が入った個体が見られ、強烈だった酸味はマイルドになり、酸っぱいりんごが好みならば生果でも結構おいしく食べられます。「グラニー・スミス」も同様で、以前にも増して食べやすい甘酸っぱさを感じるようになりました。

ブラムリーズ・シ―ドリング(左) グラニー・スミス(右) 拡大
ブラムリーズ・シ―ドリング(左) グラニー・スミス(右)

温暖化の影響、調査データが!

気候温暖化による農作物への影響が危惧される現在、消費者も農業者とともにその影響の実態を知ることは大切ではないでしょうか。以前に公表された農研機構農研機構用語解説国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構の略称。の調査内容を一部紹介します。『農研機構・果樹温暖化対応プロジェクトでは、長野県果樹試験場、青森県産業技術センターりんご研究所と共同で、過去30~40年にわたるリンゴの品質データを分析(※2013年8月)した結果、温暖化に伴って酸含量が減るなどにより、リンゴの甘みが増すという食味の変化が起きていることを解明した。この変化は、春先の温度上昇で発芽や開花が早期化し、果実の生育期間が長くなる傾向にあることと(生育期間が長いほど酸が減り、糖が増える)、果実の成熟期の温度が高くなり酸含量の減少が進みやすくなることで説明できる。得られた知見は、温暖化に伴い甘味が増すことを踏まえ、高温条件下での高着色性など高温耐性はあるものの酸味が強い品種の活用など、これまでの高温障害対策とは異なる新しい温暖化適応対策にもつながる。』2013年以降の調査について長野県果樹試験場にお聞きしたところ、共同調査データはないが現在もまと傾向は変わらずで、県では年毎にデータを纏めているとのことでした。

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註釈・専門用語の解説

* 農研機構
国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構の略称。

参考文献・参考資料

  • 『日本経済新聞WEB:2020.1』
  • 『長野県果樹試験場取材:2023.10』
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