海外品種りんごのポテンシャル
第21回海外品種りんごのポテンシャル
りんご村の国際交流の種
1889(明治22)年に誕生した三水村(現飯綱町)は、村制百周年の節目に名産のりんごを核にしたアップルランド事業を計画。1987年当時、企業誘致された株式会社斑尾高原農場(現サンクゼール)には、イギリスの王立植物園(RoyalBotanicGardens,Kew)に勤務する日本人女性とのご縁があり、三水村はその仲介を得て珍しいりんご品種の譲渡を、英国王立園芸協会(RoyalHorticulturalSociety)に依頼しました。三水村長と英国王立園芸協会長は幾度も書簡を交わし、りんごの穂木が無償提供されることになりました。
イギリスから空輸されたりんご44品種のうち植物検疫を通った16品種は、1990年晩秋イギリス大使館員や村関係者・保育園児らの手によって、ニュートンりんご並木に植樹されました。植樹から30年余、現在では、ブラムリーズ・シ―ドリング、ブレンハイム・オレンジ、ベル・ド・ボスクープ、エグレモント・ラセット等の品種が町内の農家で栽培されています。外観や見栄えを気にせず栽培でき、着色管理のための葉摘み等も必要ない品種であることから主に加工用として出荷され、シードル(りんご酒)・ジュース・ジャム・お菓子等に活用されています。
拡大
加工向きの海外品種りんご
これらの英国王立園芸協会からのりんごは18~19世紀に誕生した古品種で、当地では今も親しまれています。特徴は①酸味が強い。
②加熱後も芳香と酸味が残る。③ビタミンCが豊富等です。果肉は煮崩れやすく短時間でジャムが出来ます。アップルパイに使うと際立つ酸味が甘味を引き立て、クセになる美味しさ。ジュース・ジャムは爽やかな酸味と濃厚な味わいが好評です。海外品種りんごは、9月初旬から町内農産物直売所の店頭に並びます。酸っぱいりんごがお好みなら、ぜひ生の果実も味わってみてください。
拡大
プロシアニジン量を豊富に含む
近年、ポリフェノールという言葉をよく聞きます。ポリフェノールは人の生体調節機能に関与する食品成分で、苦味や渋味、香り、色素の元となる成分です。ポリフェノールの一種「プロシアニジン」は、りんごに含まれるポリフェノールの約6割を占め、食品に含まれるポリフェノール類のなかでも、強い抗酸化力があることが農研機構*農研機構用語解説国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構。*や大手飲料メーカーの研究で分かっています。2019年、飯綱町が委託した町産りんごの成分分析(長野県工業技術総合センター調査※グラフ参照)で、数種の海外品種りんごのプロシアニジン含有量が、「サンふじ」と比較し2~3倍あることが分かりました。これらは、プロシアニジンを多く含むことから機能性表示食品として有望で、新たな加工品の開発が今後期待されています。
註釈・専門用語の解説
参考文献・参考資料
- 『*農研機構/国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構【グラフ出典】長野県工業技術総合センター研報№15.p.F19-22(2020)【参考資料】』